イーグル金貨(イーグルきんか、The American Gold Eagle)とは、アメリカ合衆国政府が発行してきた本位貨幣としての10ドル金貨である。現在では1986年から発行された地金型金貨の名称として用いられる。

Gold Eagle
United States
価値 5–50 U.S. dollars (face value); see #仕様
Reeded
構成 91.67% Au, 3% Ag, 5.33% Cu
鋳造年 1986–present (bullion)
1986–2008, 2010–present (proof)
2006–2008, 2011–present (uncirculated)
表面
Liberty $50 Obverse.png
デザイン Liberty
デザイナー Augustus Saint-Gaudens
裏面
Liberty $50 Reverse.png
デザイン Eagle soaring above a nest
デザイナー Miley Busiek
デザイン時期 1986

「イーグル」という用語は、1933年以前の10ドルの金貨の正式な米国指定でもあるため、通常、地金コインの重量は、アメリカンゴールドイーグルを説明するときに混乱を避けるために使用され(例:「1/2オンスアメリカンゴールドイーグル」)これは額面価格が10ドルとマークされている1/4オンスのアメリカンゴールドイーグルに特に当てはまる。

詳細編集

仕様編集

4つのサイズのそれぞれは、金91.67%(22カラット)。割金として銀3%、および銅5.33%が含まれています。
宗派 1/10トロイオンス 1/4トロイオンス 1/2トロイオンス 1トロイオンス
直径 16.5 mm 22mm 27 mm 32.70 mm
厚さ 1.19 mm 1.83 mm 2.24 mm 2.87 mm
総重量 0.1091トロイオンス(3.393 g) 0.2727トロイオンス(8.483 g) 0.5454トロイオンス(16.965 g) 1.0909トロイオンス(33.931 g)
額面価格 5ドル $ 10 25ドル 50ドル

1795年の10ドル金貨編集

ターバンヘッドの旧タイプ2種

1792年の貨幣法(Coinage Act of 1792)では金品位は22カラットであり、イーグル金貨(10ドル金貨)は270グレーン(17.496g)(品位22/24、純金247.5グレーン: 16.038g)に定められた。

ターバンヘッドタイプのイーグル金貨は1795年から1804年銘まで製造発行された[1]

以下1/2イーグル(5ドル金貨)135グレーン(8.748g)(品位22/24、純金123.75グレーン: 8.019g)、1/4イーグル(2.5ドル金貨)67.5グレーン(4.374g)(品位22/24、純金61.875グレーン: 4.009g)と額面に比例していた。この時の金銀比価は1:15であった[2]

1834年の金貨編集

1839年リバティヘッド(旧)
1865年リバティヘッド(新)
1866年リバティヘッド(モットー)
1907年インディアンヘッド
1908年インディアンヘッド(モットー)

しかし、銀相場の下落から金貨の国外流出・溶解が起こったため、1834年の貨幣法(Coinage Act of 1834)では金貨が減量され品位も116/129(899.2/1000)とやや下がった。イーグル金貨は258グレーン(16.718g)(品位116/129、純金232グレーン: 15.033g)、1/2イーグルは129グレーン(8.359g)(品位116/129、純金116グレーン: 7.517g)、1/4イーグルは64.5グレーン(4.180g)(品位116/129、純金58グレーン: 3.758g)となった。しかし、このタイプのイーグル金貨は製造されず、1/2イーグルと1/4イーグルが製造された[1]。これにより金銀比価は1:16.00となった。

1837年以降の10ドル金貨編集

1837年には量目は変えず金品位を僅かに上げ、116/129(899.2/1000)から900/1000と微調整された。イーグル金貨は258グレーン(16.718g)(品位900/1000、純金232.2グレーン: 15.046g)となった。

リバティヘッド(コロネット)タイプのイーグル金貨は1838年から1907年まで、インデアンヘッドタイプのイーグル金貨は1907年から1933年銘までが製造された[1]。リバティヘッドは1866年銘からモットーが入り、インデアンヘッドは1908年からモットーが入った。

以下は額面に比例であり、1/2イーグルは129グレーン(8.359g)(品位900/1000、純金116.1グレーン: 7.523g)、1/4イーグルは64.5グレーン(4.180g)(品位900/1000、純金58.05グレーン: 3.762g)となった。これにより金銀比価は1:15.99となった。

1849年からはダブルイーグル(20ドル金貨)(516グレーン: 33.436g)(品位900/1000、純金464.4グレーン: 30.093g)および1ドル金貨(25.8グレーン: 1.672g)(品位900/1000、純金23.22グレーン: 1.505g)、1854年からは3ドル金貨(77.4グレーン: 5.015g)(品位900/1000、純金69.66グレーン: 4.514g)も製造された[1]

1792年以来、アメリカは金銀複本位制を採ってきたが、1850年台終盤頃のネバダ州における膨大な銀鉱の開発から銀価格が下落し、1873年の貨幣法(Coinage Act of 1873)では銀貨が補助貨幣扱いとなり金本位制となった[3]。金本位制は1900年に正式に法律に金1オンス=20.67ドルと明記された。

1933年にはルーズベルト大統領は大統領命令6102号を発令してアメリカ市民の金保有を禁止し、金本位制・金貨の製造も停止された。この時市民は金1オンス=20.67ドルの平価で収集用金貨を除く金貨や金制品の供出を強制された。このため1933年銘の金貨は全て溶解されたことになっていたが、最終年号である1933年銘の20ドル金貨がオークションに出品され、アメリカ政府は金貨の所有権をめぐって提訴する事件に至った[4]。これとは別のダブルイーグル金貨が、2021年6月にやはりオークションに掛けられ、コインの史上最高の1887万ドルで落札されている[5]

地金型金貨編集

 
イーグル金貨(表)
 
イーグル金貨(裏)

現在の地金型金貨の主流はK24の純金であるが、イーグル金貨は22カラット(91.67%)である。かつての流通用金貨がそうであったように、およびとの合金とすることによって、純度と引き換えに耐磨耗性を得ていることが特徴である。K22の地金型金貨としては他にクルーガーランド金貨南アフリカ)、ブリタニア金貨(イギリス)がある。

種類はそれぞれ純金量1,1/2,1/4,1/10トロイオンスの4種。合金分を含んだ総重量は若干多い。額面は1トロイオンス貨からそれぞれ50,25,10,5ドルだが、発売・取引価格を大きく下回る。また収集用にプルーフ加工(鏡面加工)されたものも発行されている。

他に現代アメリカの地金型貨幣としては、1986年からは純度99.9%のイーグル銀貨が、1997年からは純度99.95%のイーグルプラチナ貨が、2006年からは一般的な地金型金貨同様に99.99%の純度をもつバッファロー金貨が、それぞれ並行して発行されている。 日本国内では、野口コインが販売を行っている。

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ミンタージュフィギュア編集

歴史的な地金のボリューム編集

Year $5 – 110 oz. $10 – 14 oz. $25 – 12 oz. $50 – 1 oz.
1986 912,609 726,031 599,566 1,362,650
1987 580,266 269,255 131,255 1,045,500
1988 159,500 49,000 45,000 465,500
1989 264,790 81,789 44,829 415,790
1990 210,210 41,000 31,000 373,210
1991 165,200 36,100 24,100 243,100
1992 209,300 59,546 54,404 275,000
1993 210,709 71,864 73,324 480,192
1994 206,380 72,650 62,400 221,663
1995 223,025 83,752 53,474 200,636
1996 401,964 60,318 39,287 189,148
1997 528,515 108,805 79,605 664,508
1998 1,344,520 309,829 169,029 1,468,530
1999 2,750,338 564,232 263,013 1,505,026
2000 569,153 128,964 79,287 433,319
2001 269,147 71,280 48,047 143,605
2002 230,027 62,027 70,027 222,029
2003 245,029 74,029 79,029 416,032
2004 250,016 72,014 98,040 417,019
2005 300,043 72,015 80,023 356,555
2006 285,006 60,004 66,005 237,510
2007 190,010 34,004 47,002 140,016
2008 305,000 70,000 61,000 710,000
2009 270,000 110,000 110,000 1,493,000
2010 435,000 86,000 81,000 1,125,000
2011 350,000 80,000 70,000 857,000
2012 290,000 90,000 43,000 675,000
2013 555,000 114,500 57,000 758,500
2014 545,000 90,000 35,000 425,000
2015 980,000 158,000 75,000 626,500
2016 925,000 152,000 74,000 817,500
2017 395,000 64,000 37,000 228,000
2018 230,000 62,000 32,000 191,000
2019 195,000 38,000 30,000 108,000

歴史的証拠のボリューム編集

Year $5 – 110 oz. $10 – 14 oz. $25 – 12 oz. $50 – 1 oz.
1986 - - - 446,290
1987 - - 143,398 147,498
1988 143,881 98,028 76,528 87,133
1989 84,647 54,170 44,798 54,570
1990 99,349 62,674 51,636 62,401
1991 70,334 50,839 53,125 50,411
1992 64,874 46,269 40,976 44,826
1993 58,649 46,464 43,819 34,369
1994 62,849 48,172 44,584 46,674
1995 62,667 47,526 45,388 46,368
1996 57,047 38,219 35,058 36,153
1997 34,977 29,805 26,344 32,999
1998 39,395 29,503 25,374 25,886
1999 48,428 34,417 30,427 31,427
2000 49,971 36,036 32,028 33,007
2001 37,530 25,613 23,240 24,555
2002 40,864 29,242 26,646 27,499
2003 40,027 30,292 28,270 28,344
2004 35,131 28,839 27,330 28,215
2005 49,265 37,207 34,311 35,246
2006 47,277 36,127 34,322 47,092
2007 58,553 46,189 44,025 51,810
2008 28,116 18,877 22,602 30,237
2009 - - - -
2010 54,285 44,507 44,527 59,480
2011 42,697 28,782 26,781 48,306
2012 20,740 13,775 12,809 23,630
2013 21,742 12,789 12,718 24,710
2014 22,725 14,790 14,693 28,703
2015 26,769 15,775 15,820 32,652

歴史的な非流通ボリューム編集

$ 5からオンス $ 10からオンス $ 25からオンス 50ドル–1オンス
2006-W 20,643 15,188 15,164 45,053
2007-W 22,501 12,766 11,455 18,066
2008-W 12,657 8,883 16,682 11,908
2009-W - - - -
2010-W - - - -
2011-W - - - 8,729
2012-W - - - 5,829
2013-W - - - 7,293
2014-W - - - 7,902
2015-W - - - 6,533
2016-W - - - 6,888

関連項目編集

脚注編集

注釈編集


出典編集

  1. ^ a b c d Chester L. Krause and Clofford Mishler, Colin R. Brucell, Standard catalog of WORLD COINS, Krause publications, 1989.
  2. ^ Annals of Cong. 2115 (1789–1791), cited in Arthur Nussbaum, The Law of the Dollar, Columbia Law Review, Vol. 37, No. 7 (Nov., 1937), pp.1057–1091.
  3. ^ Carothers, Neil (1930). Fractional Money: A History of Small Coins and Fractional Paper Currency of the United States. New York: John Wiley & Sons, Inc. (reprinted 1988 by Bowers and Merena Galleries, Inc., Wolfeboro, NH). ISBN 0-943161-12-6.
  4. ^ 米政府:1933年鋳造の幻の金貨、ダブルイーグル所有権めぐり提訴
  5. ^ 幻の金貨、20億円で落札 史上最高額―米時事通信

外部リンク編集